episode16ゲリラ豪雨
妻と私の生活リズムは、全てそれぞれの仕事に委ねられています。
なので、お互いの生活リズムが全く違うこともあるわけです。
妻が普通に朝起きて夜寝るって生活リズムの時に、私が夜中から翌日お昼過ぎまで仕事をして、夕方から寝るってパターンになったことがありました。
そんな場合でもほとんど私が買い物に行っていましたが、睡眠不足が続き、ちょっとゆっくり寝てしまったある夏の日のことです。
いつもは夕方に買い物に行けるよう、目覚ましをセットしているのですが、その日は目覚ましにも気が付きませんでした。
妻は目覚ましの音に気が付いて、それでも起きてこない私の様子に寝かせておいてやろうと思ったのでしょうか。
それともお腹が空いてイライラしていたんでしょうか。
珍しく、自分からすすんで買い物に行ったようでした。
一方私は妻が買い物に出たことも知らず、熟睡していました。
目覚ましの音にも気が付かないほど熟睡していた私は、何かふと嫌な予感がして目が覚めました。
本当に予感としか言いようがありませんが、何だか気になって目が覚めたんです。
時計を見ると結構遅い時間です。
あ!しまった!
早く買い物に行かなくちゃって思った途端、雨の音がし始めました。
雨音から、大粒の雨ってことが分かります。
きっと妻はお腹を減らしているはずですから、寝過ぎてしまったこと、すぐ買い物に行くってことを伝えようと妻の部屋を覗きました。
でも部屋は真っ暗です。
もしかして買い物に行ったのかもって考え、慌てて玄関を見ると、妻のスニーカーがありません。
でも傘は置いてあります。
こりゃ雨で帰れないんだって思い、私と妻の傘二本を持って家を飛び出しました。
雨はまさしくゲリラ豪雨で、私が起きた時よりも強くなっています。
妻はきっと近所のスーパーに向かっているはず。
そう思って、小走りでスーパーに向かおうとすると、道の向こうからどよんとしたオーラを身にまとった妻がうつむき加減で歩いてきました。
見るともうずぶ濡れです。
慌てて傘を差しかけ、買い物の荷物を全部持ちました。
「もうちょっとだけスーパーで待っててくれたら迎えに行けたのに」って言うと、
「あなたは寝てるし、お腹が空いたから買い物に行ったのよ!」
「どうして今頃来るの?!」
「来るんだったら、あと5分早く来てくれたら濡れなかったのに!!」
「あなたって、いつもちょっとどんくさいわよね!!」
とゲリラ豪雨で薄暗くなった中でもはっきりと分かるぐらい顔を真っ赤にして怒ります。
家にたどり着くまではもちろんですが、家に着いてタオルで拭く間も、食事をしている時も、私は小さくなって謝ってました…。
結局…
妻の中で、私はどんくさい、つまり要領が悪いという結論になったそうです。
ゲリラ豪雨さえなければ、こんなことにはならなかったのに…。
でも…
少しでも私を寝かせておいてあげようって思ってくれる、
こんな妻のことが大好きです。。。