episode37カマキリ
以前も書きましたが、妻は虫が大嫌いです。
女性は虫嫌いな人が多いですが、都会育ちの妻は子供のころから虫を目にすることもなかったようで、それも原因になっていると思います。
私はというと、子供の頃田舎に住んでいたことがあるので平気です。
さすがにゴキブリは気持ち悪いので苦手ですが、やっつけるとか、駆除するのは全然問題ありません。
そんな妻と一緒に外を歩いていると突然「ギャー!!」と叫び、しゃがみ込むことがあります。
びっくりして「どうした?」って聞くと、小さな虫が妻の顔に向かって飛んできたというのです。
暖かくなってくると小さな虫が飛んでいたりしますが、たまたま妻の顔に向かって飛んできたようでした。
虫だけではなく、クモの糸が突然顔周辺に引っかかった時なども同じです。
道端で「ギャー!!」って叫んだり、「キャー!!」って叫んだりしながらジタバタするので、通行人も何事かとびっくりします。
ひとしきり叫んだあとは顔や髪に虫が止まっていないか、確認しろと私に命じます。
いつもたいしたことはないのでパッと見て「大丈夫だよ」っていうのですが、そのいい加減さに対しても怒ります。
「ちゃんと見てよ!!」
「虫、嫌いなんだから!」
「早く、ちゃんと見てよ!!」
といつも見直しを強制させられます。
でもいつも虫など止まっていないのですが…。
ある時、妻にどうしてそんなに虫がきらいなのか、聞いたことがあります。
すると「自然のものなのに黒かったり茶色だったりするのが嫌」だそうです。
じゃあ何色だったらいいのって聞くと「自然なんだから緑色」だそうです。
そういえば、以前出掛けようとした時、玄関の門の上に緑色の小さなカマキリが止まっていたことがありました。
生まれてそんなに経っていない感じです。
私が「あ、カマキリだ」って言うと
「どれ?」
「うわぁ~可愛い」って…。
カマキリは小さくてもカマキリです。
それにいつも妻が顔に向かって飛んでくるとキャーキャー言ってる蚊のようなものよりはるかに大きいです。
小さいのに気配を察知してか、カマを上にあげて、ユラユラと威嚇しているようでした。
このカマキリが可愛いって、どういう感覚なんだろうって思いますが…。
要するにただ緑色ってことだけですよね。
「カマキリってこのカマで虫を捕まえて食べるんだよ」
「今ユラユラしてるのは、きっと威嚇してるんだよ」って教えましたが、
「ふ~ん」
「こんなに小さいくせに、一人前に威嚇するなんて、可愛い」だそうです…。
玄関の扉の上にいるので、このままでは扉が開けられません。
私は指で弾いて飛ばしてしまおうと思い、指で輪を作って近づけると、
「そんなことしないでよ!」
「小さいのに可哀想じゃない!」って真っ赤な顔で怒られました。
これって…
つまり私はカマキリより可愛くないってことなんでしょうか…。
だからいつも怒られるのか…。
私も全身緑色になればいいんだろうか…。
でも…
小さな蚊のような虫にキャーキャーいってしまう…
こんな妻のことが大好きです。。。