episode40肉料理
妻と私はお互いの都合が合えば一緒に食事をしますが、仕事の都合で別々に食事することも多くあります。
特にどちらか一方の仕事が忙しく、生活が昼夜逆転しているような場合は、妻が朝食を食べた直後に私が夕飯を食べるなどの場合もあります。
しかも妻は料理などしない…いや…できないので、私がすぐに食べられるような献立を考えておかねばなりません。
例えばレンジで温めるとか、火にかけて温め直すだけで食べられるようなものです。
おまけに妻は和食系の色んなものを少しづつ食べるのが大好きです。
一方私はトンカツなど肉類が好き。
お互いの好みが全く違うだけじゃなく、料理するタイミングもつかめないので、もう手に負えません。
そのため、非常食として冷凍食品を常に買い置きしてあります。
冷凍食品なら妻でも自分で作れるからです。
妻と私が一緒に食事できていたのが続いたある日、急に妻が忙しくなってしまいました。
私はそれほど忙しくなかったので、せめてスタミナのつくものを食べさせてあげようとニンニクがたっぷり入った味付け肉を買ってきました。
それまでは妻の好みに合わせて魚料理を食べることが多かったので、久しぶりに肉でもいいかなって思ったんです。
買い物から帰るとメモがおいてあり、少しだけ仮眠するって書かれていました。
気になって妻の部屋を覗くと、熟睡しているようでした。
妻を起こさないようそっと扉を閉め、私は台所で食事の用意を始めました。
味付け肉なら焼いてラップをかけておけばレンジで温めればすぐに食べられるはずです。
今日は一人で食事かぁって思いながら料理を終え、一人で肉料理の夕飯を食べました。
妻の食事は全部ラップをかけ、冷蔵庫に入れました。
これで完璧です。
私も安心して休めます。
ベッドに入ってしばらくウトウトしていると、何だか目が覚めてしまいました。
すると一階からなにやら物音がします。
そこでベッドを抜け出し、一階に降りてみました。
すると妻がリビングで冷凍食品を食べているじゃないですか。
「起きたの?」
「可哀想に…大丈夫?」って聞くと、
「大丈夫よ…」と何やら不機嫌そうです。
きっと疲れているんだ、可哀想にって思いました。
そして「せっかくお肉焼いてあったのに食べなかったの?」って聞くと
「私ね、今さっき起きたところなの!」
「寝起きでお肉を食べろっていうの?!」
「しかもニンニクがいっぱい入ってるのなんて食べられるわけないでしょ!!」
「これはいやがらせ?!」
と顔を真っ赤にして怒ります…。
「いや…疲れてるだろうから、スタミナをつけてもらおうと…」
「私はお肉いらないから、あなた食べてね!」
というと、冷凍食品を食べていた皿を流しに置いて、自室に上がっていきました。
結局、ニンニクたっぷりの味付き肉は、私が朝食で食べました…。
二食続けて肉です…
しかも寝起きに…。
当分肉料理は見たくありません…。
でも…
一生懸命仕事に取り組んでいる…
こんな妻のことが大好きです。。。