episode11ゴキブリ
妻は虫が大嫌いです。
女性で虫が好きな人はいないかもしれませんが、極度に虫が嫌いです。
今住んでいるのは一軒家ですが、それ以前はずっとマンションばかりでしたので、虫が出てくることはありませんでした。
今はゴキブリをはじめ、大きな家グモ、蚊、時々ゲジやムカデまで出ます。
妻によると、ゲジやムカデはアウトドア好きの私の荷物に紛れ込んでくるそうです。
最も問題はゴキブリです。
ゴキブリが出てくると、ホントにもう大騒ぎです。
まるで爆弾が落ちたような騒ぎになります。
妻も私も仕事が忙しいと生活が不規則になってしまい、
昼間に寝て、夜中に仕事することも多くなります。
なので、必然的にゴキブリに遭遇することが増えるんでしょう。
そんなことから、妻のゴキブリ対策はこの家に引っ越してから過剰気味になりました。
どんな風に過剰かというと…
全ての部屋にゴキブリ退治用の薬「コンバット」と「ブラックキャップ」を
必要以上に置くようになりました。
例えば…
私の4畳半の和室だけでコンバットは5つ、
それ以外に、ブラックキャップが12個置かれています。
和室ですから押入れがあるのですが、
その中にもコンバットが2つとブラックキャップが6個もあります。
各部屋共にこんな状態ですから、家の中にあるゴキブリ退治用の薬を合計すると、
いったい幾つあるのやらって感じです。
しかも万が一を考えて、虫叩きを各部屋に一つ、必ず装備してあります。
なので、虫叩きは計5つもあります。
部屋でゴロンと横になると、ゴキブリ退治用の薬が必ず視界に入ってきます。
まるで殺虫剤に囲まれて生活しているようです。
これでも時々勇気のあるゴキブリが出てきます。
妻の悲鳴がゴキブリ登場の合図です。
悲鳴が聞こえたら、何をしていても、どんな時でもすぐに駆け付けないと
大変なことになります。
以前、妻と仕事のタイミングが合わず、
私が寝ている時にゴキブリが出たことがありました。
妻は一目散に私の寝室に駆け込んできたようで、
「ゴキブリが出てきたよ! 早く退治してよ!!」
「仕事ができないじゃない!!!」
と怒鳴りながら叩き起こされました。
私は眠い目をこすりながら退治しましたが、
退治した後もずっと文句を言われ続けました。
「どうしてさっさと起きてくれないのよ!」
「私の悲鳴が聞こえなかった?!」
「見てよ、鳥肌立ってしまってるじゃない。どうしてくれるのよ!」
「気になって、仕事できないじゃない。もう!!!」
こんな感謝の言葉と、どれほどゴキブリが嫌いかを
一時間ほど、延々聞かなくてはいけません。
そして気が済むと「仕事するわ」と部屋に戻って行きました…。
それ以降、特に夏場のゴキブリが出てくる季節には、
私は落ち着いて寝られなくなりました。
妻の悲鳴が今にも聞こえるかと思うと…。
私はゴキブリの出現が怖いです…。
でも…
こんなにも私のことを頼ってくれる、
そんな妻のことが大好きです。。。