episode21地域の平和のために
妻は私に良く怒ります。
しかも半端なく怒ります。
ですが、普段は良く笑い、仕草も可愛く、天然っぽい人なのかなって思うほどです。
それが怒ると一変するのは前回の記事で書いた通りです。
どの姿が本当の妻なのか、時々分からなくなりますが、本人は計算でやっているわけではないようです。
ただ腹が立ったら怒る。
それだけなんです。
この普段と怒った時の落差が大きすぎるのに困惑するのは私だけではありません。
妻と私がたまたま同じプロジェクトを手掛け、そのクライアントに一緒に打合せに行った時のことです。
もちろん初対面ですから、妻もニコニコして打合せしていました。
クライアントの担当者も人の良さそうな方でしたので、妻も話しやすかったのでしょう。
ですが、打合せの中である依頼を妻が格安で引き受けてしまいました。
例えるなら、15万円かかる作業を3万円で引き受けてしまった、そんな感じです。
しかも先方は元々その作業にそれほど乗り気ではなかったのに、妻が格安の条件をあっさりと出してしまったため、急に乗り気になってしまいました。
私は横で聞いていて、そんな金額じゃ無理だよって思ったのですが、職域が違う私はそんなこと言えません。
打合せが終わった帰り道、妻に「あんな金額で大変な作業をやるの?」
って聞くと「調子乗ってしまったけど、私がやるから大丈夫…」とのことでした。
その作業は案の定大変でしたが、妻は打合せで言ってしまった手前とプライドのせいで、今更撤回できません。
ブツブツ言いながら作業していました。
そんなことを知らないクライアントは、他の作業で色々な無理を言ってきます。
作業は余計に大変になってきました。
その度に妻のイライラは溜まっていったようです。
そんなある日のことです。
電話でクライアントがまた無理な注文を付けてきたようで、妻が怒りだしたのです…。
担当者も最初は豹変ぶりにびっくりしていましたが、そのうち言い返しているようでした。
そりゃそうですよね。
私はそばでオロオロするしかありません。
結局、担当者はその無理な注文を諦めたようでした。
そして妻は自分が気軽に引き受けてしまった依頼はちゃんとやり遂げました。
格安で…。
実は妻にはこんな例がたくさんあります。
クライアントであろうがなかろうが関係ありません。
おかしなことや失礼なことを言ってくると、怒ります。
今回は自分の失言もあって苦労していたので余計に怒ったんでしょう。
でも妻の凄い(いや…恐ろしい)のは…
怒るのは腹が立っているだけで、そこに打算や計算は一切ないんです。
しばらくすると、何事もなかったようにニコニコしながら話してますから…。
でも…そんな妻の豹変ぶりに振り回されるクライアントや周囲の人はどう接したらいいのか分かりませんよね。
私はクライアントや周囲の人を守らねばなりません。
仕事関係だけでなく、住んでいるこの地域の人達も、いつこの災難に巻き込まれるか分かりません。
地域の平和のために、私ひとりが犠牲になればいいんです…。
でも…
いつも私をハラハラさせる…
こんな妻のことが大好きです。。。