episode29被害妄想
妻と私が手分けして一つのプロジェクトに取り組むことがあるのは、以前お話しした通りです。
大きなプロジェクトであっても、妻と私の仕事量が均等になることはまずありません。
これは職域が違うために起こってしまうのですが、ほとんどの場合、どちらかが大変になります。
私の方が忙しい時は、買い物など家のことをこなすのが大変になります。
一方、妻の方が忙しい時は、機嫌が悪くなるので、それもまた大変です。
どちらの場合でも私が大変なのですが、妻が忙しい方が恐いです…。
例えば、
一緒にクライアントに打ち合わせに行き、急に大きな課題を投げかけられた時などに問題は起こります。
今まで一度も議論されてこなかったことを急に投げかけてくるのですから、その時の対応は大切です。
一瞬の間に色んなことを考えて話さなくてはいけません。
妻はもちろんしっかりと対応するのですが、あまりにも課題が大きい場合には、会話の中でどうしても抜け落ちる部分が出てきます。
私は妻が後で苦労するのを見るのは辛いので、つい言ってしまいます。
「これはどうなるんでしょう?」
妻の職域を犯さないよう、だけど言葉に出さなくてはいけないことを伝えるために慎重に言葉を選びます。
その時妻は「そうですよね、これはどうしましょう?」などと話しますので、私も言って良かったと思うんです。
その時は…。
ですが、打合せからの帰りの車中では、
「ねえ! あれはどういう意味なの?!」
「あんなことぐらい、私が分からないと思ってたの?!」
「私のこと馬鹿にしてるの!!」
と、真っ赤な顔で私を責めます。
決してそんなつもりはなく、ただ心配だったから言っただけなんです…。
おそらく…妻の中には被害妄想のスイッチがあるんだろうと思います。
こんなこともありました。
その日は妻の免許更新の日でした。
簡単な講習を受けるため、小さな会議室の最前列に座っていました。
その時は離れた後ろの方の席にもう一人男性がいただけでした。
講習の前に妻がふと座っていた椅子の背もたれを触ると何だか濡れています。
おまけに自分の背中も濡れています。
もしかして水でも掛けられたのか?
文句を言わなくてはと思ってバッと後ろを振り返ったそうです。
でも後ろの男性とはかなり離れており、しかも水など持っていません。
そう…妻の汗だったのです。
着ていたのはフリースで、汗がフリースの外に染み出ていただけだったのです。
その話を聞いた時、
「勘違いしたんだよね」って笑って丸く収めましたが…
きっとその日は被害妄想のスイッチが入ってたんだって思いました…。
今度妻のスイッチが入るのはいつでしょうか…。
ハラハラします…。
でも…
いつもハラハラさせて私に刺激を与えてくれる…
こんな妻のことが大好きです。。。