episode32洗濯機
妻はまれに洗濯を手伝ってくれます。
正確には…
自分の洗濯物がたまった時、自分のものを洗うついでに、私の洗濯物も1~2点洗ってくれます。
おそらくこれは、自分のものだけを洗濯したのでは「洗濯してあげたよ」って主張することには無理があると思っているからだろうと想像しています。
だいたい洗濯物がたまっている状態は、私が忙しいか、もしくは何らかの事情で洗濯できない時です。
ということは…私の洗濯物もたまってしまっているということです…。
しかも、妻のものをメインに洗濯されると、それが乾くまでの間は私の洗濯物はそのままってことでもあります。
先日、こんなことがありました。
その時は妻も私も本当に忙しく、もはやパニック状態。
食料を買いに行くだけでやっとって感じでした。
とてもじゃないですが、洗濯まで手が回る状態ではありません。
このままでは二人とも着替えがなくなってしまうことは分かっていましたが、とてもじゃないですが洗濯する時間が作れません。
そんな時、妻がやっと少しだけ手が空いたようで、一階に降りてきて、洗濯機を回し始めました。
私は洗濯機の音で妻が洗濯してくれていることは分かりましたが、時間に追われていて様子を見に行くこともできません。
部屋で仕事を続けていました。
すると妻がいきなり私の部屋をガバッと開け「洗濯してるからね!!」と言いに来ました。
私は「ごめんね」と言うしかできません。
やがて洗濯機が止まった音がして、妻がリビングに洗濯物を干しだしました。
気になって覗いてみると、案の定妻のものがほとんどで、私のものはTシャツが2枚だけ。
思わず「パンツの換えがもうないから洗って欲しかったんだけど…」と言うと、
「そんなこと知らないわよ!!」
「私だってもう着替えが無いのよ!」
「いっぱいたまってるんだからしょうがないでしょ!!」
といつものように真っ赤な顔で怒ります…。
しょうがないかぁって思っていると、洗濯機がまた音を立てて回っています。
びっくりして「また洗ってるの?」と聞くと、
「そうよ、いっぱいたまってるんだから!!」と不満げでした。
私はおとなしく部屋に戻り仕事を続けていました。
すると…洗濯機を置いてある洗面所の方からゴツンという音が響いてきました。
そして「いた~~い!!!」という大きな声。
びっくりして駆け付けると妻がオデコを押さえています。
「どうしたの?」
「洗濯物を取ろうと覗き込んだら、洗濯機のフタにオデコぶつけた…」
オデコはちょっと赤くなっている程度で、心配するほどのことはありませんでした。
妻はその後、ブツブツ言いながら自分の洗濯物を干していました。
家の洗濯機はフタを開けると折り畳まれるため、完全に平らになることはなく、若干立った状態で止まります。
ですがそんなのに頭突きをくらわすなんて、普通じゃ想像できません。
もしかして洗濯機には私の気持ちが分かったのでしょうか。
この洗濯機、大切に使ってやろうと心に誓いました…。
でも…
忙しい時に自らすすんで洗濯してくれる…
こんな妻のことが大好きです。。。