episode48気絶
妻も私も、忙しい時はひたすら時間に追われているので、アッという間に一日が終わってしまいます。
気が付いたらもう朝だったってことも頻繁にあります。
こんな生活をしている二人ですので、だんだん生活のリズムが狂ってくるのもしょうがないって思っています。
そんな日々でも、何かの都合で一日だけ余裕ができる、なんて時もあります。
普通なら気晴らしにどこかへ出かけようとか考えるんでしょうが、私たちの場合、仕事が忙しくなると生活パターンが昼夜逆転することもしょっちゅうです。
一日だけ休みができたといっても、起きたら夜中ですから、それからどこかへ出かけるなんてことはできません。
TVを観ると言っても、そんな時間ではたいしたものも放送されていません。
だいたい、妻も私もあまりTVは観ませんので、仮に面白いものが放送されていてもきっと観ません。
唯一の休みは家でボーッとして身体を休めるだけって感じで終わってしまいます。
そんな時でも妻はネットで色んな情報を仕入れているようです。
ほとんどが仕事に関することですが、自分の欲しいものを探したり、興味がある記事なども読んでいるようです。
私も興味ある記事をネットで調べたり、それに疲れるとリビングのソファーで横になり、うたた寝していることが多いです。
でも妻は私と違って、一度起きると横になるってことをしない人です。
「昔からの習慣なのよ」
「あなたのようにしょっちゅう横になってるなんて、みっともないことはしません!」
と私の過ごし方をあざ笑います。
たしかに妻が、起きてから寝るまでの間に横になっているのを見たことはありません。
すごいなぁ…私は怠けているのかなぁってずっと思っていました。
ですが、私は見てしまったんです。
妻の秘密を…。
ある日のことでした。
その日の私は仕事はあるものの、それほどたいした量でなく、比較的のんびり仕事をしていました。
妻も同じような状況でした。
私が一階の和室で仕事をしていると、二階の妻の部屋から時折ガクンという音が聞こえてきます。
一度だけであればそれほど気にはならなかったのですが、何度か続くと気になります。
妻の様子を見に行きました。
すると…
妻がPCの前に座ってうたた寝しているではありませんか!
ガクンと階下に響いていた音は、椅子から落ちる寸前で持ち直していた音だったのです。
私は思わず「クスクス」と声を出して笑ってしまいました。
その声に目が覚めた妻は、
「疲れてたから気絶していたわ…」
その気絶ってフレーズには、
普段は昼間に寝るなんてしないけど、自分でもどうしようもなかった、
自分の意志で寝たんじゃないって言い訳が入っているのを感じ、思わず吹き出してしまいました。
すると、妻が顔を真っ赤にして
「どうして笑うのよ!!」
「疲れてるんだからしょうがないでしょ!!」
「あ~あ、可哀想にっていったらどうなのよ!!」って怒りだしました。
「ごめんごめん」
「可哀想に…ごめんね」って謝り、妻の部屋を出ましたが、自室に戻るとクスクスと笑ってしまいました。
椅子に座ってうたた寝してるんだから、確かに横にはなってないですよね…。
妻は間違ってはいないです。。。
でも…
気絶なんて言葉で言い訳をしてしまう…
こんな妻のことが大好きです。。。