episode56ご飯粒
我が家では買い物は私の担当です。
どんなに仕事が忙しくても食事抜きにはできないので、買い物には毎日行かなくてはなりません。
でも忙しい時は献立を考えるのも大変です。
そんな時は、買い物に出かける前に妻に何が食べたいか聞くようにしていますが、いつも「なんでもいいよ」って返事しか帰ってきません。
結局、妻に聞いても何の助けにならないので、私がひとりで考えなくてはいけなくなります。
スーパーに着いてからあれこれひとりで悩んで買い物してくるわけですが、買ってきたものによっては妻の逆鱗に触れることがあります。
「これ、美味しくないから嫌だっていってたでしょ!」とか、
「これは嫌いっていってたじゃない! 覚えてないの?!」などから始まり、
「私のいってることなんて、真剣に聞いてないのよね!」と怒られてしまいます。
でも…「なんでもいいよ」っていったのは妻なんですが…。
結局、なんでもいいわけではないってことです。。。
その日の夕食もうっかりして、妻が美味しくないから嫌だっていっていたものを買ってきてしまったようで、文句をいわれてしまいました。
でも私の記憶では、その食材のことを妻は過去に「これ、あまり美味しくないよね。」っていわれただけで、はっきりと拒絶されたわけではないと思っていたのです。
そのことを妻にいうと、
「私は、これは嫌っていったよ! あなたが覚えてないだけ!」から始まり、
「あなたはいつも私がいうことをちゃんと聞いてないのよ!」、
「私のことを適当にあしらってるだけなんでしょ!」
とお説教の嵐が始まってしまいました。
私が謝りながらふと妻の方をみると、服の胸あたりに何やら白いものがくっついています。
何だろうと凝視していると、妻もその視線に気が付いたようで、「ちゃんと人の話を聞いてるの?!」と怒ります。
「あの…服に何かくっついてる…」っていうと、妻はそれが何か確かめました。
どうやらご飯粒が服にくっついて、パリパリになっていたようです。
多分、お昼の食事の時に食べこぼしたのでしょう。
妻はまるで子供のような出来事に気恥ずかしくなってしまったようで、「食事も落ち着いてできないからこんなことになったのよ、可哀想なアタシ。。。」と照れ隠しのようにごまかします。
そのことがきっかけで妻の怒りも収まったようで、穏やかな食事の時間となりました。
私への怒りを、お茶目になかったことにしてくれる…
こんな優しい妻のことが大好きです。。。