episode6買い物
妻と私はお互いに暇なとき、ちょっと離れた場所にあるファッションビルへ
一緒に出掛けることがあります。
私たちが住んでいる近くにはファッションビルなんてないし、
のんびりランチができるお店なんてありません。
妻の洋服だったり、
妻の靴だったり、
妻の好きなスウィーツだったり、
妻が気に入るランチができるお店なんて見当たりません。
それにちょっとオシャレな私の服も買ってもらえます。
せっかく二人で出かけるんですから、こんな時ほど笑顔でいてもらいたいと、
私は精一杯妻のお世話をします。
いつも出かける前、
妻は「今日はあのお店を見て、あそこに行って、どこどこでランチして…」
ってうれしそうです。
それを見ている私もなんだかうれしくなってきます。
お店で妻が洋服を見て、試着してみようか悩んでいると、私の出番です。
「その形より、きっとこっちの形の方がスッキリ見えるよ」とか、
「この色の方が顔写りがいいよ」など、一生懸命アドバイスをします。
妻は一応、私のセンスを信じてくれているようで、
「あ、そっか。じゃあこれはどう?」なんて聞いてくれるので、
もう私はうれしくって「いや、あの服の方がいいかも。持ってくるから着てみれば」
などと、真剣にアドバイスをします。
妻もアドバイス通り、何着も試着して、洋服を選んでいきます。
そんな感じで一軒目のお店を出て、二軒目、三軒目と進むと…
妻の顔が少しづつ無表情に…。
お腹空いたのかなぁって思い、「ランチにしようか?」
ってランチのお店に行きますが、
そこでも妻はムスッとした表情のままです。
色々話しかけても、返事は「うん…」って言うだけ…。
そしてランチが終わって帰りの車中、
妻は「あなたと買い物に行くと疲れるのよ!」
「洋服、いったい何着試着すればいいの?!」
「試着って疲れるのよ、知ってる?!!!」
って、顔を真っ赤にして怒ります。
「だって、試着しないと分からないから…」って言うと、
「あれもこれもって、試着させるから疲れるんでしょ!」
「それに私はあなたの服も選んであげてるの。疲れて当然でしょ!!!」
ちなみに…
妻のために行ったお店は5軒で、所要時間は3時間ほど。
私のために行ったお店は2軒で、所要時間はせいぜい15分ほどでした。
家に着くまで、むっつりとした表情の妻をなだめるのも私の役目です。
そして、今度の休みもまた買い物に行く予定になっているそうです。
でも…
私は、こんな妻のことが大好きです。。。