episode7トイレ掃除
妻と私、二人ともに忙しい状態が長く続くと、家の中はだんだん汚れてきます。
掃除する余裕なんて全くないからです。
もちろん、妻が忙しくて私に余裕があれば、私が掃除をしますし、
私だけが忙しくて妻に余裕がある時は、
ごくまれにですが、妻が目についたところを簡単に掃除してくれます。
少し前、お互いに忙しい時期が重なってしまい、
掃除できない期間が二ヶ月ほどできてしまいました。
トイレがだんだん汚くなり、なんだか使うのも嫌な感じが…。
あまりにも気になってしまい、忙しいのにもかかわらず、トイレ掃除をしました。
便器から便座、トイレットペーパーホルダーまで全部拭き掃除をし、
床は掃除機をかけたうえでピカピカに磨きました。
所要時間は1時間程でしたが、気持ちいいほどきれいです。
仕事でヘトヘトなのにもかかわらず屈んで掃除していたので、
腰は痛いし全身は倦怠感でいっぱいでした。
きっとこれで妻も喜んでくれるって思うと、私は思わず笑顔になってしまいます。
そして夕飯の時(もちろんこの夕飯も私が買い物に行ったんですが…)、
妻に満面の笑みを浮かべながら「トイレ見てくれた?」って聞きました。
この時点で、既に妻はトイレを使っていますので、
きれいになっているのは知っているはずです。
なのに一言もなかったので…。
返事は、
「はい、ありがとう」とこちらを見ずに一言発しただけです。
それしか言わないので、
「便器から床まで全部拭き掃除したんだよ。ピカピカできれいになったよ。」
「腰が痛くって、ヘトヘトだよ」って言うと
「トイレの窓が汚れたままだったよ!」
「それに、そんなに嫌だったら掃除なんかしなければいいのに!」
顔を見ると、明らかに赤くなってきていて、興奮し始めているのが分かります。
あ…トイレの窓を掃除するの、忘れてた…。
それに怒らせちゃったかも…まずい…。
「いや、掃除をしたくないんじゃなくて…」って説明しようとすると
「私は今、すごく仕事が大変でイライラしてるの!!」
「だけどさっき、ちゃんとありがとうって言ったよね?!!」
「何度ありがとうって言えばいいの?!」
「ちゃんと掃除できてるわけでもないのに?!!」
「それにトイレは私だけじゃなくて、あなたも使うんでしょ?!!」
って言うと、それ以降は言葉を発することなく食事を済ませ、
さっさと部屋に戻って行きました。
形だけの「ありがとう」じゃなくって、
心からの言葉を聞きたかったためにこんな羽目になってしまいました。
でも…
私は、こんな妻のことが大好きです。。。