episode35散歩
妻と私は時々一緒に散歩に行きます。
お互いにデスクワークがメインの仕事ですので、運動不足になってしまうからです。
散歩に行けるのはお互いの仕事のタイミングが合う時しか無理なのですが、だいたい夕方が多いです。
夕方のタイミングって、私たちからすると、遅いお昼を食べ、食後のコーヒーを飲み終ったぐらいになります。
散歩といっても、あまりのんびり歩いていると運動にはなりません。
ちょっと早足って感じの速度で歩くようにしていますので、散歩コースから帰ってくるとじんわり汗をかいています。
ある日、妻と一緒に散歩に出かけた時のことです。
その日は私の都合で出かけるのがちょっと遅くなってしまいました。
私を待っている間、妻は食後のコーヒーを飲んでから、また缶コーヒーを飲んでいたようです。
散歩に行くため玄関に向かうと、妻は真新しいスニーカーを履いて待っていました。
いくらスニーカーとはいえ、下ろしたてを履いて散歩に行くと足が痛くなるんではと心配しましたが、「大丈夫よ」とのことでした。
ですが散歩に出てしばらく歩くとやっぱり靴擦れしてしまったようです。
妻の歩くスピードがだんだん遅くなってきました。
「ほらぁ…やっぱり新しい靴を履くと靴擦れするじゃない」
「私の言った通りでしょ」
「慣れてる靴を履いてくれば良かったのに」って言うと
いきなり顔を真っ赤にして、「だって!買ったばかりの新しい靴、履きたかったんだもん!!」
「私の気持ちが分からないのね!!」
「優しくないんだから!!」
って怒りだしました。
別に私はいつも通り歩いていただけなのですが…
そこまで計算して気遣いしなければいけないのか…。
「足が痛かったらここから引き返そうか?」って聞くと、
「この先のスーパーまで歩くわよ!」とのこと。
「無理しないで帰ろうよ…」というと
「トイレに行きたいの!!」と赤い顔を一層赤くして怒ります。
どうやら食後にコーヒーを飲み、その後、私を待っている間に缶コーヒーを飲んだのでトイレに行きたくなったようです。
その時私たちがいたのは、普通に歩けばスーパーまであと5分程の距離です。
トイレはスーパーまでありません。
妻の機嫌が悪くなったのもトイレに行きたかったせいなのでしょう。
すると、それまで私から遅れ気味だった妻の歩く速度が速くなりました。
今まで私が歩いていた速度より早いくらいで、わたしを置いてどんどん歩いていきます。
しかも一言もしゃべりません。
慌てて妻を追いかける私でした…。
スーパーに着き、トイレに行ってホッとしたのでしょうか。
帰りはまるで牛歩戦術のようなスピードで歩きながら、
私に「もっとゆっくり歩いてよ!」と怒る妻でした…。
でも…
私との散歩を楽しみに、コーヒーをがぶ飲みして待ってくれている…
こんな妻のことが大好きです。。。